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青い線が双曲線軌道の例.軌道力学ないし天体力学において双曲線軌道(そうきょくせんきどう、hyperbolic trajectory)とは、ケプラー軌道の中で離心率が1よりも大きい軌道を指す。通常、この軌道上を運動する物体は中心天体に対して無限に遠ざかる。
放物線軌道と同様、双曲線軌道もまた脱出軌道である。ただし、双曲線軌道上をとる物体の軌道エネルギーは0より大きい(放物線軌道では0)、つまり、無限遠で運動エネルギーを失う放物線軌道と異なり無限遠でも運動エネルギーを有する。
軌道の表現
] →「軌道要素」も参照
2次曲線は焦点を原点とする極座標 (r, φ) により

で表される。離心率が e > 1 である双曲線の場合は、cos φ = −1/e、あるいは tan φ = ±√(e2 − 1) において分母がゼロとなるため、φ → ±arctan √(e2 − 1) において焦点からの距離が r → ∞ となる。
双曲線において長半径に相当するパラメータは、楕円と同じく

と定義して負のパラメータに選ぶ場合と、符号を変えて

と定義して正のパラメータに選ぶ場合の2通りの選び方がある。以降では前者を採用する。
真近点角 φ = 0 のとき、近点距離

となる。
無限遠点での速さ
] 双曲線軌道における、中心天体から無限に離れた地点での速さ(
)は、エネルギー保存則より、
ここで
は 中心天体の重力定数
は双曲線の軌道長半径に-1を掛けたもの
を表す。
は(単位質量あたりの)軌道エネルギーと以下の式により一意に関係付けられる。
ここで、
は(単位質量あたりの)軌道エネルギー
は特性エネルギー
を表す。
軌道速度
] 双曲線軌道において、軌道速度 (
)は以下の通り計算される。

ここで
は中心天体の重力定数
は中心天体からの距離,
は双曲線の軌道長半径に-1を掛けたもの
を表す。
関連項目
] 外部リンク
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