1948年の映画

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1948年の映画(1948ねんのえいが)では、1948年(昭和23年)の映画分野の動向についてまとめる。

1947年の映画 - 1948年の映画 - 1949年の映画

出来事

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世界

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  • 2月11日 - ソ連、セルゲイ・エイゼンシュテイン監督死去。
  • 3月 - 英国、英米映画協定(Anglo-American Film Agreement)調印。アメリカ映画へのドル支払いの上限を年間425万ポンド(約1700万ドル)とし、それ以上の収益はイギリス映画産業に投資することを条件に、外国映画に課せられた関税(税率75%)を撤廃。
  • 5月3日 - 米国最高裁、MGM、 パラマウント、20世紀フォックス、RKO、ワーナーに対し、独禁法により製作・配給の分離を判決。(パラマウント訴訟)
  • 5月25日 - フランス、ジャック・フェデー監督死去。
  • 7月23日 - 米国、「アメリカ映画の父」D・W・グリフィス監督死去。
  • 月日不詳
    • フランス、フランス映画保護法成立。
    • フランス、映画の父・ルイ・リュミエール死去に伴い、ハイ・リュミエール賞創設。

日本

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  • 1月
    • 入場票券に検印を実施する。
    • 戦後初のフランス映画『美女と野獣』公開。
    • 1月7日 - 大映・永田雅一社長、公職追放に該当。
    • 1月14日 - 東宝、企業再建整備対策要項を発表し、全社員に協力を要望。
    • 1月15日 - 大映、真鍋八千代社長就任。
    • 1月16日 - 日本映画連合会(映連)、日本映画最高名誉賞と日本映画シナリオ賞制定。
    • 1月25日 - 大映、CIE教育映画日本語版製作決定。
  • 2月
    • 2月21日 - 大映、過度経済力集中排除法による指定を受ける。
    • 2月22日 - 東宝、過度経済力集中排除法の指定を受ける。
  • 3月
    • 山本嘉次郎、黒澤明ら『映画芸術協会』設立。黒澤明は『静かなる決闘』(1949年)から『白痴』(1951年)までの映画を製作。
    • 3月4日 - 東宝、本社を東京・銀座7丁目より有楽町の東宝文芸ビルに移転。
    • 3月6日 - 菊池寛(作家・前大映社長、59歳)死去。
    • 3月8日
      • 11歳の美空ひばり、 横浜国際劇場で歌手デビュー。
      • 大阪興行場の入場制限実施。
    • 3月11日 - 正月以来まちまちだった京阪神地区封切日、木曜日に再統一。
    • 3月12日 - 『手をつなぐ子等』(監督:稲垣浩)、日本劇場で披露、30日封切。
  • 4月
    • ニッポンシネマコーポレーション(NCC)設立。
    • 三船敏郎、『醉いどれ天使』(黒澤明監督)で一躍スターとなる。
    • 4月8日 - 東宝経営側、1,200名の解雇を通告(当時の従業員数約6,500人)。4月16日、撮影所関係者に指名解雇状送付、17日、労使間の交渉が決裂し、組合側が砧撮影所を占拠してストライキ突入〔東宝争議〕。
    • 4月26日 - 東宝、新東宝を設立し、新東宝映画製作所の業務一切を継承。
  • 5月
    • 永田雅一と大澤善夫、公職追放が解除される。
    • 5月15日 - 日本音楽著作権協会、映画の歌曲使用料値上げを通告。
  • 6月
    • ウィリアム・ワイラー監督『我等の生涯の最良の年』が有楽町スバル座で公開。17週ロングランの新記録達成。飢餓で苦しむ日本人に感銘を与えてヒット。
    • 6月1日 - 東宝、砧撮影所をロックアウト。
    • 6月15日 - 大映、永田雅一社長就任。
  • 7月
    • 7月12日 - 大映、理研映画製作の文化ニュース配給を契約。
    • 7月14日 - 大映・松竹・東宝・新東宝・東横映画の劇映画5社、北陸震災(福井地震)見舞金として50万円拠出、東京都に寄託。
    • 7月15日 - GHQ、事前検閲中止を通告。事後検閲となる。時代劇(武士道を連想させるチャンバラ、刺青など)に対する規制は残る。
    • 7月31日 - 生フィルム、平均1.77倍の値上げ。
  • 8月
    • 東京地裁、争議団籠城中の東宝組合に対し、砧撮影所明け渡しの仮処分を命令する。8月19日、命令執行のため、武装警官2,500名、アメリカ占領軍第8軍の戦闘機・戦車・第1騎兵師団1個中隊が出動する。組合側は組合活動の自由の約束を会社側から取り付けることで退去する。
    • 松竹、大阪角座が洋画興行に転向。
    • 8月1日
      • 封切館の入場料金40円(内税24円)が認められる。二番館以下35円に値上げ
      • 入場税は国税から地方税に管掌が移行、税率は1円以上150%で据え置き。
    • 8月23日 - 大映、三益愛子主演の映画『母』(小石栄一監督)公開、ヒット。その後、三益の「母もの」が続々と製作される。
  • 9月
  • 10月
    • 10月19日 - 東宝争議が労働組合幹部20名が退社することで収束する。195日間にも及んだ第3次東宝争議が遂に解決。11月19日、争議解決の正式調印する。
    • 10月27日 - 東京都共同募金委員会、丸の内・ピカデリー劇場で各社映画による共同募金興行を実施(30日まで)。
  • 11月
  • 12月
    • 大映と東横映画、集中排除法の指定から解除される。
    • 東宝教育映画創立。
    • 大映、南米へ『花咲く家族』(千葉泰樹監督)、戦後初輸出。

周年

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  • 創立25周年
    • ウォルト・ディズニー・プロダクション

日本の映画興行

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  • 入場料金(大人)
    • 20円 → 40円(東京の邦画封切館)
  • 入場者数 7億5866万人(1年間に1人平均9.5回鑑賞)
新作映画公開本数
映画製作会社 公開本数
松竹 42
東宝 6
大映 37
新東宝 20
東横映画 10
その他 8
合計 123

出典『映画統計資料 : 昭和21年1月-30年12月(10年間)』日本映画連合会、1956年、1頁。NDLJP:1694281。 

日本公開作品

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受賞

]
  • 第21回アカデミー賞
    • 作品賞 - 『ハムレット』 - トゥー・シティズ・フィルムズ
    • 監督賞 - ジョン・ヒューストン - 『黄金』
    • 主演男優賞 - ローレンス・オリヴィエ - 『ハムレット』
    • 主演女優賞 - ジェーン・ワイマン - 『ジョニー・ベリンダ』
    • 助演男優賞 - ウォルター・ヒューストン - 『黄金』
    • 助演女優賞 - クレア・トレヴァー - 『キー・ラーゴ』
  • 第6回ゴールデングローブ賞
    • 作品賞 - 『ジョニー・ベリンダ』、『黄金
    • 主演男優賞 - ローレンス・オリヴィエ - 『ハムレット』
    • 主演女優賞 - ジェーン・ワイマン - 『ジョニー・ベリンダ』
    • 監督賞 - ジョン・ヒューストン - 『黄金』
  • 第9回ヴェネツィア国際映画祭
    • 最高賞 - 『ハムレット』 - ローレンス・オリヴィエ監督、image イギリス
  • 第22回キネマ旬報ベスト・テン
    • 外国映画第1位 - 『ヘンリィ五世』image
    • 日本映画第1位 - 『醉いどれ天使』
  • 第3回毎日映画コンクール
    • 日本映画大賞 - 『醉いどれ天使』
  • 都民映画コンクール賞
    • 『誘惑』・『わが生涯のかがやける日』・『醉いどれ天使』・『手をつなぐ子等』・『王将』(順不同)(pp33 - 40)
  • 第3回文部省芸術祭賞
    • 映画部門 - 『蜂の巣の子供たち』・『王将』(p40)

生誕

]
  • 1月3日 - 中村晃子、image 日本、女優・歌手
  • 1月10日 - あおい輝彦image 日本、男優・歌手
  • 1月14日 - カール・ウェザース、image アメリカ合衆国、男優・フットボール選手
  • 1月16日 - ジョン・カーペンター、image アメリカ合衆国、映画監督・プロデューサー・脚本家
  • 1月29日 - マーク・シンガー、image カナダ、男優
  • 2月5日 - バーバラ・ハーシー、image アメリカ合衆国、女優
  • 2月20日 - ジェニファー・オニール、image ブラジル、女優
  • 2月22日 - ジョン・アシュトン、image アメリカ合衆国、男優
  • 2月28日 - マイク・フィギス、image イギリス、映画監督・脚本家
  • 2月28日 - バーナデット・ピーターズ、image アメリカ合衆国、女優
  • 2月28日 - マーセデス・ルール、image アメリカ合衆国、女優
  • 3月11日 - ドミニク・サンダ、image フランス、女優
  • 3月14日 - ビリー・クリスタル、image アメリカ合衆国、女優・コメディアン
  • 3月25日 - ボニー・ベデリア、image アメリカ合衆国、女優
  • 3月26日 - いしだあゆみimage 日本、女優・歌手
  • 3月28日 - ダイアン・ウィースト、image アメリカ合衆国、女優
  • 3月29日 - バッド・コート、image アメリカ合衆国、男優
  • 5月20日 - 玄田哲章、image 日本、声優
  • 5月21日 - ジョナサン・ハイド、image オーストラリア、男優
  • 6月22日 - 笹野高史、image 日本、男優
  • 6月25日 - 沢田研二、image 日本、男優
  • 6月28日 - キャシー・ベイツ、image アメリカ合衆国、女優
  • 7月30日 - ジャン・レノ、image フランス、男優
  • 8月8日 - 前田美波里、image 日本、女優
  • 8月10日 - 角野卓造、image 日本、男優
  • 9月7日 - スーザン・ブレイクリー、image アメリカ合衆国、女優
  • 9月10日 - 大信田礼子、image 日本、女優
  • 9月19日 - ジェレミー・アイアンズ、image イギリス、男優
  • 10月2日 - パーシス・カンバッタ、image インド、女優・モデル
  • 10月17日 - マーゴット・キダー、image カナダ、女優
  • 11月3日 - 柄本明、image 日本、男優
  • 11月10日 - ヴィンセント・スキャヴェリ、image アメリカ合衆国、女優
  • 11月12日 - 銀河万丈、image 日本、声優
  • 11月28日 - アニエスカ・ホランド、image ポーランド、映画監督・脚本家
  • 12月6日 - ジョベス・ウィリアムズ、image アメリカ合衆国、女優・映画監督
  • 12月12日 - トム・ウィルキンソン、image イギリス、男優
  • 12月14日 - ディー・ウォレス・ストーン、image アメリカ合衆国、女優
  • 12月21日 - サミュエル・L・ジャクソン、image アメリカ合衆国、男優・プロデューサー
  • 12月27日 - ジェラール・ドパルデュー、image フランス、男優

死去

]
日付 名前 出身国 年齢 職業
2月 11日 セルゲイ・エイゼンシュテイン image ロシア帝国 50 映画監督
7月 5日 キャロル・ランディス image アメリカ合衆国 29 女優
15日 ウィリアム・セリッグ image アメリカ合衆国 84 映画スタジオ設立者
23日 D・W・グリフィス image アメリカ合衆国 73 映画監督
8月 13日 エレン・ハンマーシュタイン image アメリカ合衆国 51 女優

脚注

]
[脚注の使い方]

注釈

]
  1. ^ 『松竹九十年史』では「4月設立」が「4月開業」となっている。
  2. ^ アメリカ映画で原爆に触れた最初の劇映画とされるているが、連合国軍占領下で報道管制があったため、原爆云々のシーン(2分間)はカットされた。
  3. ^ 『東宝75年のあゆみ』では「武装警官約1800人と応援の第8軍(米)を合わせ総勢二千余人出動」となっている。
  4. ^ 〔引用者註〕誤植であると思われるが、『松竹九十年史』では東宝第二次争議となっている。
  5. ^ 『大映十年史』では、大映が指定解除されたのは「17日」となっている。
  6. ^ 『戦後値段史年表』によれば、8月は40円となっている。
  7. ^ 〔引用者註〕『日本劇映画作品目録:昭和20-45年 昭和20-30年』は落丁が多い資料のため、特に独立系の受賞作品を中心に抜け落ちている可能性がある。

出典

]
  1. ^ 「エイゼンシュテイン」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3コトバンクより2023年8月31日閲覧 
  2. ^ a b c d e 石原良太 1986, p. 66.
  3. ^ a b 市橋秀夫「映画と政府」『文化経済学』第3巻第2号、2002年、35–47頁、doi:10.11195/jace1998.3.2_35。 
  4. ^ 楠田真「<文学×映画>の文化的連鎖反応 -「怒れる若者たち」から 「ブリティッシュ・ニューウェイヴ」へ-」(pdf)『日本大学大学院総合社会情報研究科紀要』、日本大学大学院総合社会情報研究科、2012年7月1日、18頁、2023年9月1日閲覧 
  5. ^ “United States v. Paramount Pictures, Inc., 334 U.S. 131 (1948)” (英語). Justia Law. 2023年9月1日閲覧。
  6. ^ a b c 筈見 1955b, p. 102.
  7. ^ “ジャック・フェーデ - 略歴・フィルモグラフィー”. キネノート. キネマ旬報社. 2023年9月19日閲覧。
  8. ^ “デイヴィッド・ウォーク・グリフィス - 略歴・フィルモグラフィー”. キネノート. キネマ旬報社. 2023年9月19日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 松竹 1985, p. 676.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 大映 1951, §大映十年と社会・映画界の動き.
  11. ^ a b c d e f g h i j k l 東宝 2010b, p. 204.
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  13. ^ a b c d e f g h i j k l 谷川 1993, p. 112.
  14. ^ a b c d 石原良太 1986, p. 67.
  15. ^ “美空ひばり プロフィール”. 日本コロムビア. 2023年9月8日閲覧。
  16. ^ “映画 手をつなぐ子等 (1948)”. allcinema. スティングレー. 2024年5月18日閲覧。
  17. ^ a b c d 東宝 1982b, p. 51.
  18. ^ 吉村英夫『ハリウッド<赤狩り>との闘い』大月書店、2017年11月、74-76頁。ISBN 978-4-272-61235-2。 
  19. ^ 「生フィルム」『デジタル大辞泉』https://kotobank.jp/word/%E7%94%9F%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0コトバンクより2024年5月19日閲覧 
  20. ^ a b 山川 1987, p. 179.
  21. ^ a b c 松竹 1985, p. 259.
  22. ^ 「二番館」『精選版 日本国語大辞典』https://kotobank.jp/word/%E4%BA%8C%E7%95%AA%E9%A4%A8コトバンクより2024年5月10日閲覧 
  23. ^ “母(1948)”. KINENOTE. キネマ旬報社. 2023年9月9日閲覧。
  24. ^ a b 東宝 1982b, p. 52.
  25. ^ 角川春樹、藤岡和賀夫、阿久悠『ザ・ブーム』角川書店、1982年1月25日、188頁。 
  26. ^ 週刊朝日 編『戦後値段史年表』朝日新聞出版〈朝日文庫〉、1995年、23頁。ISBN 4-02-261108-1。 
  27. ^ 『映画統計資料 : 昭和21年1月-30年12月(10年間)』日本映画連合会、1956年、16頁。NDLJP:1694281。 
  28. ^ “【作品データベース】誘惑”. 松竹. 2025年2月16日閲覧。
  29. ^ a b 日本映画連合会『日本劇映画作品目録:昭和20-45年 昭和20-30年』日本映画連合会、1956年10月1日。NDLJP:2526649 。 
  30. ^ “昭和22年度(第2回) - 昭和30年度(第10回)” (PDF). 文化庁公式サイト. 文化庁. 2025年2月16日閲覧。

参考文献

]
  • 石原良太 編『映画賞・映画祭日本・外国受賞作品大全集 : 栄光と虚栄・アカデミー賞からヨコハマ映画祭』芳賀書店、1986年6月。ISBN 4-8261-0520-7。 
  • 松竹『松竹九十年史』松竹、1985年12月。全国書誌番号:87001945。 
  • 大映 編『大映十年史』大映、1951年。doi:10.11501/2460993。全国書誌番号:52009699。 
  • 谷川義雄『年表・映画100年史』風濤社、1993年5月。ISBN 4-89219-113-2。 
  • 東宝『東宝五十年史』東宝、1982年11月。全国書誌番号:83041631。 
    • 渋沢社史データベース版(1982年11月刊行本が底本)
  • 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。全国書誌番号:21785703。 
    • 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。 
  • 筈見恒夫『写真映画百年史』 4巻、鱒書房、1955年10月。 NCID BA32272354。NDLJP:2466996。 
  • 山川浩二『昭和広告60年史』講談社、1987年。ISBN 4-06-202184-6。 

外部リンク

]

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