ニュルンベルク年代記
ニュルンベルク年代記(独: Die Schedelsche Weltchronik、羅: Liber Chronicarum、英: the Nuremberg Chronicle)は、ドイツの医師であり人文主義者であったハルトマン・シェーデルがラテン語で著した年代記である。1493年6月にラテン語版が出版され、その6か月後の1493年12月23日には、ニュルンベルクの財務書記官ゲオルク・アルトの翻訳によるドイツ語版がインキュナブラ(初期活字本)として出版された。

当時の慣例に従い、本書には表紙が存在しない。そのため、ラテン語を解する学者の間では、冒頭の記述から『年代記』(Liber Chronicarum)として知られている。一方、英語圏においては出版された都市名にちなみ『ニュルンベルク年代記』(the Nuremberg Chronicle)、ドイツ語圏においては著者名を用いて『シェーデルの世界史』(Die Schedelsche Weltchronik)と呼ばれることが多い。
ラテン語版は800部、ドイツ語版は408部が印刷された。現在、ラテン語版は約400部、ドイツ語版は300部しか現存していない。
現存する本書の挿絵には着色が施されている場合が多いが、これらは印刷後に手作業で彩色されたものである。
内容
この年代記では、世界史を7つの時代に区分して解説している。
- 第1期:世界の創造から大洪水まで。
- 第2期:アブラハムの誕生まで。
- 第3期:古代イスラエルのダビデ王まで。
- 第4期:バビロン捕囚まで。
- 第5期:イエス・キリストの誕生まで。
- 第6期:現在まで。この部分が最も長い。
- 第7期:世界の終わりと最後の審判の概要。
出版の経緯

『年代記』は1493年7月12日、ニュルンベルクでラテン語で出版された。同じ年の12月23日にドイツ語訳が出版された。ラテン語で1400~1500冊、ドイツ語で700~1000冊が出版された。1509年の本の奥付には、この時までにラテン語として539刷、ドイツ語として60刷が出版されたことが書かれている。現在、ラテン語本が約400冊、ドイツ語訳本が約300冊が残っている。挿絵が着色された本も多く、この着色専門の業者もあったほどだった。その挿絵だけがオールド・マスター・プリント (Old master print) として水彩で着色されて売られたことも多い。また、挿絵だけが切り取られて売られることもあった。
印刷・出版は、画家アルブレヒト・デューラーの代父母(後見人)、アントン・コーベルガーが行った。コーベルガーはデューラーの生まれた1471年、金細工職人をやめて印刷家・出版家になり、ドイツの初期の出版家として最も成功した一人となった。最終的には印刷機24台を所有し、リヨンやブダペストなどドイツの諸都市に多くの支店を出した。
挿絵
大きなアトリエを持つニュルンベルクの画家ミヒャエル・ヴォルゲムートが、1809という大量の木版画を提供した。ヴォルゲムートとその義理の息子ヴィルヘルム・プライデンヴルフに対して1487年から1488年ごろに初めて挿絵の要請がなされ、1491年12月29日に追加の挿絵と説明文を提供する更なる契約がなされた。1490年の日付が入ったヴォルゲムートによる詳細な原画が大英博物館に収められている。ゼバスティアン・カメルマイスター(Sebastian Kammermeister)とゼーバルト・シュライアー(Sebald Schreyer)は1492年3月16日、この年代記に対して巨大な資金を提供した。

アルブレヒト・デューラーは1486年から1489年までヴォルゲムートの見習いをしており、この年代記の挿絵の作成に参加した可能性がある。ただしこの年代記出版前後の1490年から1494年までの間、デューラーは旅行をしていた。

同時期の他の本と同様、同じ挿絵が何回か使われている。例えば同じ絵が説明文だけを変えて、町の様子と戦争の挿絵に使われている。繰り返しを省くと、使われている木版画は645である。この本はかなり大きく、2ページにわたって描かれている絵の大きさは342 x 500ミリメートルである。ニュルンベルクだけが説明文なしで2ページにわたって描かれている。ヴェネツィアの絵も比較的大きく、詳細であり、これは元は1486年にエアハルト・ロイヴィヒが旅行ガイド用に書いた挿絵である。このほかにも、別の本から流用した挿絵がいくつかあることが確認されている。フィレンツェの挿絵はフランチェスコ・ロッセリが彫刻したものである。
脚注
- ^ a b “Nuremberg Chronicle (Liber Chronicarum)”. Brandeis University (2010年11月27日). 2025年7月23日閲覧。
- ^ “print; book”. The British Museum. 2025年7月23日閲覧。
- ^ "About this book - Latin and German Editions", Beloit College Morse Library
- ^ a b ,Giulia Bartrum, Albrecht Dürer and his Legacy, British Museum Press, 2002, pp. 94-96, ISBN 0-7141-2633-0
- ^ A Hyatt Mayor, Prints and People, Metropolitan Museum of Art/Princeton, 1971, nos 43 & 173.ISBN 0-691-00326-2
外部リンク
コモンズにはこの本の400以上の画像が収められている。
- Beloit College's extensive account of their version of the Chronicle, with illustrations
- the original woodcut world map
- More views from the Metropolitan Museum's uncoloured copy: Rome, Nuremberg, saints
- Online images of an uncoloured copy from the State Library of Victoria
- Online full Latin coloured copy from the Bayerische Staatsbibliothek
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