パンナコッタ

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苺ソースを添えたパンナコッタ

パンナ・コッタイタリア語: panna cotta)は、イタリア発祥の洋菓子の一種である。イタリア語でコッタは焼いた、パンナは生クリーム、という意味である。パンナコッタとも表記される。

本来のレシピでは、卵白と生クリーム、砂糖を使ったアパレイユ(生地)をオーブンで焼き、冷やして仕上げる焼き菓子である。しかし、現在ではゼラチンでとろみをつけ、型に流して冷やし固めるタイプのものも多く見られる。こちらはつるりとした口当たりが特徴の、冷たいクリームデザートとなっている。クリームはコーヒー、バニラ、または他の調味料で香り付けされていることもある。

調理法

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ブルーベリーソースのかかったパンナコッタ

砂糖は温かいクリームに入れて溶かす。クリームには香辛料などを入れたり、ラム酒、コーヒー、バニラなどを加えたりして風味をつけられていることがある。ゼラチンを冷たい液体で柔らかくしてから、温かいクリームの混合物に加える。これを型に流し込み固める。 その型の底にキャラメルを入れることもあり、クリームキャラメルに似たものになる。

その名前は「調理したクリーム」を意味するが、材料は強く熱するのではなく、ゼラチンと砂糖が十分溶ける程度に温めるだけである。

付け合わせ

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パンナ・コッタはしばしばベリーのクーリ、キャラメルやチョコレートのソースと一緒に提供される。フルーツやリキュールを乗せることもある 。

歴史

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パンナ・コッタという名前は、1960年代までイタリアの料理本には記載されていなかったが、イタリア北部のピエモンテ州の伝統的なデザートである 。1つの(文書化されていない)歴史によると、1900年代初頭にランゲ地方でハンガリーの女性が作ったのがはじまりといわれている。 1879年の辞書にはゼラチンを使って調理し、型に入れ、クリームで作ったラテ・イングレーゼ、つまり「イングランドの牛乳」という料理がある。他の出典にはラテ・イングレーゼは卵黄で作られており、その名称はとろみがあるカスタードのようなものを指すと書いてある。

ピエモンテ州は2001年にその地域の伝統的な食品の一覧にパンナ・コッタを入れた 。そのレシピにはクリーム、牛乳、砂糖、バニラ、ゼラチン、ラム酒、マルサラが含まれておりキャラメルとともに型に流し込む。 他の著者は伝統的な風味は桃のブランデーであり、伝統的なパンナ・コッタにはソースや他の付け合わせをしないと考えている 。

パンナ・コッタは1990年代にアメリカで流行した。

日本でのブーム

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日本では1992年サントリーが業務用粉末「即席パンナコッタ」を、1993年に森永乳業がカップ入りの量産品を発売し、ブームになった。喫茶店やファミリーレストランのメニューに追加されたほか、家庭でデザートやおやつとして手作りされる。生クリームの割合が多いと高カロリーになる上、日本では生クリームは値段が高いために、家庭では牛乳やエバミルクを多く使用することもある。飲食店ではココットに入って出てくることが多い。

関連食品

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ババロアはパンナ・コッタに似ているが通常は卵とゼラチンが含まれており、型に流し込む前にホイップクリームを混ぜ合わせる

ブラマンジェは時々ゼラチンやアイシンググラスを、時にはでんぷんを用いて濃くする。

パンナ・コッタは時にカスタードと呼ばれることもあるが、本当のカスタードはゼラチンではなく卵黄でとろみをつけている。

脚注

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  1. ^ a b c Luigi Carnacina, Luigi Veronelli, "Panna Cotta", La Cucina Rustica Regionale 1:156, 1977, based on La Buona Vera Cucina Italiana (not seen), 1966
  2. ^ Accademia Italiana della Cucina, La Cucina: The Regional Cooking of Italy, ISBN 978-0-8478-3147-0, p. 832, 2009, translation of La Cucina del Bel Paese
  3. ^ a b c Camilla V. Saulsbury, Panna Cotta: Italy's Elegant Custard Made Easy, p. 14
  4. ^ “Chocolate panna cotta” (英語). Australian Women's Weekly Food (2014年12月30日). 2019年6月4日閲覧。
  5. ^ Davidson, Alan (2006). Jaine, Tom. ed. The Oxford Companion to Food (second ed.). Oxford: Oxford University Press. p. 574. ISBN 9780192806819 
  6. ^ P. Fornari, Il nuovo Carena : la casa, o Vocabolario metodico domestico : compilato sui più recenti lavori di lingua parlata, con raffronti dei principali dialetti : ad uso delle scuole, 1879, p. 498
  7. ^ Pietro Fanfani, Vocabolario della lingua italiana: per uso delle scuole, 2nda edizione, 1865, p. 848
  8. ^ Riccardo Brocardo, "I prodotti agroalimentari tradizionali del Piemonte a quota 370", full text
  9. ^ "Prodotto n. 69", Bollettino Ufficiale Regione Piemonte 33:23 (supplement) p. 532
  10. ^ Anna Del Conte, Gastronomy of Italy (revised edition), 2013, ISBN 1862059586, s.v.
  11. ^ Amanda Hesser, The Essential New York Times Cookbook: Classic Recipes for a New Century, p. 441: "1990's: ... Panna Cotta replaces crème brûlée, excising the egg yolks and using gelatin for a wobbly texture"
  12. ^ Greg Atkinson, West Coast Cooking, 2006, ISBN 1570614725, s.v. 'panna cotta': "panna cotta took us by storm in the '90s"
  13. ^ 畑中三応子『ファッションフード、あります。 はやりの食べ物クロニクル 1970-2010』2013年、紀伊國屋書店 ISBN 9784314010979

関連項目

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  • デザート
  • 洋菓子

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